AIの計算リソースの構造に大きな変化が訪れている。半導体研究機関SemiAnalysisが昨日明らかにしたところによると、AI企業のAnthropicはブロードコムと重要な提携を結び、約100万個のTPU v7p「Ironwood」AIチップを直接購入し、自社データセンターで大規模なAIトレーニングおよび推論インフラストラクチャを展開する予定である。この動きは、AnthropicがTPUの元開発元であるグーグルを間接的に回避し、チップメーカーのブロードコムから全体のシステムを直接取得し、グーグルをIPライセンス提供者としてのみ参加させたことを意味している。

  210億ドルの注文の背景:クラウド大手に依存しないAIの計算リソースの構築

ブロードコムCEOのチェン・フュイヤンは2025年12月に、Anthropicがブロードコムに合計210億ドル(約1472億元人民元)の注文を出したことを確認した。これはTPU v7pに基づくラックレベルのAIシステムをカバーしており、TeraWulfなどの3社がインフラストラクチャをサポートし、Fluidstackが現場での設置と運用保守を担当する。これにより、Anthropicは完全に自社が制御できる計算リソースの閉じた環を構築することになる。

グーグルは依然としてTPUアーキテクチャの知的財産権を保有し、取引からIPライセンス料を獲得するが、ハードウェアサプライヤーやクラウドサービスの中間業者としては関与しない。この体制により、Anthropicはグーグルクラウドへの依存度を大幅に低下させ、モデルトレーニング、データセキュリティ、コスト管理において高い独立性を獲得する。

 なぜグーグルを避けるのか?セキュリティ、コスト、戦略的自主性が主な理由

分析では、Anthropicのこの行動には3つの考慮があるとされている:

- データ主権:Claudeシリーズのモデルには多くの企業向けの機密データが含まれており、ローカルでの展開により、第三者のクラウドプラットフォームを通じてデータを扱う必要がなくなる。

- コスト最適化:全体のシステムを直接購入することで、クラウドサービスの過剰な価格を回避でき、長期的な運用コストはTPU Podのレンタルよりも顕著に低くなる。

- 技術的自主性:下層の計算リソーススタックを掌握することで、チップドライバーや通信プロトコル、スケジューリングシステムの深いカスタマイズが可能となり、トレーニング効率を向上させることができる。

この動きは、主要なAI企業が「クラウド化」を加速し、「計算リソースを借りる」代わりに「自前で構築する」ことによって、AGI競争におけるインフラストラクチャの主導権を争っていることを示している。

 TPUエコシステムの分裂:ブロードコムが最大の勝者か?

ブロードコムにとって、今回の提携は「チップサプライヤー」から「AIシステム統合商」へと進化したことを示す。これまでTPUエコシステムはグーグルが全面的に制御していたが、今やブロードコムは高度なパッケージングとシステム統合能力を活かして、グーグルのIPを標準化された製品として外部に販売し、新たな収益源を開拓した。

一方、グーグルにとっては、ハードウェア販売とクラウドとの連携機会を失ったが、IPライセンスモデルにより安定した収益を得ることができ、TPUアーキテクチャの業界内での影響力を広げている。ただ、制御力は以前ほどではない。

 AIbaseの観察:計算リソースの主権戦争が始まった

Anthropicの数十億ドル規模の購入は、単なるビジネス決定ではなく、AI時代における「計算リソースの主権」という意識の集約でもある。大規模モデルが国家戦略的資産となる中、誰が計算リソースを制するかが、AI発展の主動権を握ることになる。