近年、米国に本社を置くテレコム企業であるSecurus Technologiesは、刑務所内の受刑者の電話およびビデオ通話の記録を秘密裏に利用し、独自の人工知能モデルを構築しました。『MITテクノロジーレビュー』の報道によると、Securusは2023年からAI製品を開発しており、そのデータ収集はさらに以前から始まっています。これらのデータは、地元の刑務所から長期収容施設、さらには米国入管・移住局(ICE)の留置場に至るまで、さまざまな刑務所から取得されています。
SecurusのAIモデルは「犯罪活動」をリアルタイムで検出することを目的としています。同社のCEOであるケビン・アールド氏は、テキサス州の刑務所で7年以上にわたる通話記録をもとにモデルを訓練したと述べ、このAI技術が地域や州の状況に合わせてカスタマイズされていることを示しています。彼は、「これらの膨大な言語モデルを利用して大量のデータを分析することで、犯罪活動の兆候を早期に発見できます」と語りました。
通話の両当事者には、会話が録音されていることが告知されていますが、受刑者の権利を擁護する団体「Worth Rises」の実行委員長であるビアンカ・テイレック氏は、このような告知方法は実際には「強制的な同意」だと指摘しています。彼女は、「受刑者が家族とコミュニケーションを取る選択肢はほぼないのです」と述べました。
ニューヨークのシンシナティ刑務所で服役していたジョン・ダックス氏は、2019年にはすでにSecurusが彼に対して声紋認識ソフトウェアのテストを行っていたと語りました。彼は、「これはまた、私が刑務所システムの中で失わなければならない個人のプライバシーの一部でした」と述べています。
現在、SecurusのAIシステムはより高度になり、審理中の受刑者および既判の受刑者を含む複数の通話の声、そして彼らの家族、友人、弁護士の声を識別できるようになりました。『MITテクノロジーレビュー』の報道によると、Securusの最終的な目標は、特定の受刑者を監視するか、またはランダムなチェックを行うために使用できる多機能なツールを刑務所管理者に提供することです。
これらのことから、米国において受刑者の電話サービスが高利益の業界になっている現実が明らかになります。『ペンスンニュースプロジェクト』のデータによると、米国の刑務所電話サービス市場の年間収入は12億ドルに達しており、Securusはその主要な参加者の一つです。こうしたデータが新たな「石油」となる時代において、受刑者と家族との電話は単なる家庭用の高額料金ではなく、監視用のAIトレーニング材料となっています。
ポイント:
📞 Securus Technologiesは受刑者の通話記録を使ってAIモデルを作成し、犯罪活動の検出を目指しています。
🛑 通話が録音されていることを知らされる「強制的な同意」は、受刑者の権利団体によって懸念されています。
💰 刑務所の電話サービスは利益の高い業界であり、年間収入は12億ドルに達しています。
