ソフトウェア開発分野において、生成AIの応用は当初高い期待を寄せられていたが、最近ベーン社が発表した技術レポートによると、この分野での生産性向上の効果は顕著ではない。レポートでは、三分の二のソフトウェア会社が生成AIツールを導入しているものの、開発者の実際の使用率は低いと指摘されている。これらのAIアシスタントを使用しているチームが報告する生産性向上は10%から15%程度にとどまっている。

コード インターネット (2)

図の出典:AIで生成された画像、画像ライセンス提供元Midjourney

さらに注目すべきは、非営利研究機関モデル評価・脅威研究(METR)による研究結果である。同研究では、AIプログラミングツールが開発者の作業を遅くしていることが示されている。それは、開発者がAIが生成したエラーを確認および修正する時間を要するためである。そのため、ベーン社は、節約された時間がより高価値な作業に効果的に転換されていないと考えている。

ベーン社のレポートによると、初期のAIアプリケーションは主にコードの記述を高速化することに焦点を当てていたが、コードの記述とテストは全体の開発プロセスの25%から35%しか占めていない。したがって、この工程の効率向上だけでは製品の市場投入期間を短縮するには十分ではない。逆に、生成AIの本当の価値は、開発ライフサイクル全体にまたがる応用にある可能性がある。例えば、要件の発見から設計・計画、テスト、デプロイ、保守などの各段階である。

現在、レポートで言及されている新しい概念として「自律的AI」が登場している。生成AIはこれまで知的補助として認識されていたが、技術の進歩により、自律的AIは最小限の人工介入で開発プロセスの複数のステップを管理できるようになるだろう。ベーン社は、Cognition社のDevinを例として挙げており、自然言語の指示に従って完全なアプリケーションを構築できるAI「ソフトウェアエンジニア」として宣伝されている。しかし、以前のテストではDevinがタスクを遂行する際のパフォーマンスが悪く、20のタスクのうち3つしか完了できなかった。

さらに、ベーン社は企業が生成AIを採用する際にいくつかの障壁に直面していると指摘している。第一に、上層部の明確な方向性がないため、プロジェクトが停滞しやすい。第二に、一部のエンジニアがAIに対して不信感を持ち、自分の仕事の価値が低下する恐れを抱いている。三分の二の企業は、従業員の業務スタイルを変えることが最も困難な部分だと述べている。

生成AIを効果的に活用するためには、ベーン社は企業がソフトウェア開発の全工程を彻底的に再構築し、AIをそのすべての段階にスムーズに組み込む必要があると提言している。企業のリーダーが明確な目標を設定し、投資対効果を確保することができて初めて、生成AIから本質的な利益を得ることができる。

ポイント:  

🔍 生成AIはソフトウェア開発分野での生産性向上効果が限定的であり、実際の増加は10%から15%程度である。  

🚧 AIプログラミングツールは開発者を遅くしており、誤りの確認と修正に時間がかかっている。  

📈 企業はソフトウェア開発プロセスを徹底的に再構築し、AIをあらゆる段階にスムーズに統合する必要がある。これにより、本格的な生産性向上が可能となる。