最近、ColQwen2、Qwen2.5およびWeaviateを基盤としたマルチモーダルRAG(Retrieval-Augmented Generation、検索増強生成)手法が注目を集めています。この革新技術は、画像とテキストの統一されたベクトル表現を通じて、従来のOCRやブロック処理ステップを回避し、複雑なドキュメント処理やスマートな質問応答システムに新たな道を開きました。

 OCRをスキップしてPDF画像を直接処理する  

従来のPDF処理では光学文字認識(OCR)技術を使用してドキュメントを編集可能なテキストに変換していましたが、このプロセスは時間がかかりやすく誤りやすいです。新しい方法では、ColQwen2の強力な画像処理能力を活用して、PDFページのスクリーンショットを画像入力として直接使用し、OCRおよびブロック処理ステップを完全に省略します。この方法により、プロセスが簡素化され、PDF内の複雑なレイアウトや図表、非テキスト要素を保持できるため、処理効率と正確性が大幅に向上します。

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 統一されたベクトル空間でのクロスモーダル検索  

この方法の核心は、ColQwen2の画像ベクトル埋め込み機能です。PDFページのスクリーンショットはColQwen2によって高次元のベクトル表現に変換され、その後Weaviateベクトルデータベースに保存されます。クエリ時にユーザーが入力したテキスト問題も同様にColQwen2でベクトルにエンコードされ、データベースはベクトル類似度に基づいて最も関連性の高いPDFページを迅速に検索します。このような画像とテキストを同一のベクトル空間に統一する方法により、クロスモーダル検索が実現され、マルチモーダルドキュメントの処理に強力なサポートを提供します。

 Qwen2.5-VLによる知能的な回答生成  

関連ページが検索された後、Qwen2.5-VLモデルが後続のタスクを引き継ぎ、ページの内容とユーザーの質問を組み合わせて正確で自然な回答を生成します。Qwen2.5-VLは視覚言語モデルであり、画像内の複雑な情報を深く理解し、文脈に応じて高品質な回答を生成できます。この検索と生成の統合されたメカニズムにより、専門的なドキュメント、学術論文、または複雑なレポートの処理において優れた性能を発揮します。

 スマートRAGシステムの新たなアプローチを模索する 

この方法の突破点は、マルチモーダルデータの統合能力にあります。従来のRAGシステムは主にテキストデータに依存していましたが、ColQwen2とWeaviateの組み合わせにより、画像やテキストなどのさまざまなモーダルデータが統一されたフレームワーク内でシームレスに協働します。これはシステムの柔軟性を向上させ、よりスマートで効率的なドキュメント質問応答システムの構築に新たな方向性を提供します。特に、法律、金融、医療など複雑なドキュメントを扱う業界に特に関係があります。

 将来の応用可能性は無限大 

AIbaseによると、この技術はPDFドキュメントのインテリジェントな処理に新たな局面を開きます。企業の知識ベースの構築、学術研究の文献検索、またはスマートカスタマーサポートのドキュメント質問応答において、この方法は効率とユーザー体験を大幅に向上させます。ColQwen2およびQwen2.5モデルのさらなる最適化と、Weaviateのベクトル検索機能の組み合わせにより、今後多くのシーンで大規模な応用が期待されています。

ColQwen2、Qwen2.5およびWeaviateを基盤としたマルチモーダルRAG方法は、複雑なドキュメント処理分野におけるAI技術の大きな可能性を示しています。OCRをスキップし、統一されたベクトル空間と知能的な回答生成を実現することで、このソリューションは伝統的なRAGシステムに新たな活力をもたらしました。

詳細なチュートリアル:https://github.com/weaviate/recipes/blob/main/weaviate-features/multi-vector/multi-vector-colipali-rag.ipynb