【AIbase ニュース】最新の業界調査によると、ソフトウェア開発者にとって実際にコードを書く時間は16%にとどまり、残りの84%は運用およびサポートタスクに費やされている。コスト削減と効率化の圧力の中で、AIコードアシスタントはコード生成を速くすることはできるが、最も開発効率に影響を与える問題である「コンテキストスイッチング」には対処できない。

ハーバードビジネスレビューの研究では、知識労働者が1日でアプリケーションやウェブサイト間を切り替える回数は平均1,200回であり、一度中断した後には集中力を戻すのに23分かかる。約3割のタスクは完全に復帰できなくなる。カリフォルニア大学の研究も、このような断片的な切り替えが開発効率の最大の隠れた敵になっていると指摘している。

MCP

このような背景の中、Anthropicが2024年11月にリリースしたモデルコンテキストプロトコル(MCP)が注目を集めている。MCPはオープン標準であり、LLMに基づいたコードアシスタント(例: Cursor、Copilot、Windsurf)が外部ツールやデータソースに直接アクセスし、開発者がIDEと他のシステムの間を行き来する必要を減らすことができる。過去半年でMCPサーバー数は500%増加し、6月のダウンロード数は700万回に達する見込みだ。

MCPによって、開発者はIDE内で要件の読み取りからドキュメントの検索、コード実装までのすべてのプロセスを完了できる。例えば、機能開発ではLinear MCPでタスクを取得し、Slack MCPでチームの会話を取得し、Glean MCPでドキュメントを取り入れ、最後にClaudeまたはCursorが自動的にフレームワークを作成する。同様に、SREのイベント対応もIDE内で行うことができ、Rootlyからイベントを取得し、Sentryでトレースデータを検索し、Claudeが診断を支援する。

このモデルは、10年前のSlackの台頭に似ている。数千ものアプリケーションを集約することで、Slackは知識労働者の中心的なハブとなった。Riot Gamesの報告によると、Slackの統合によりエンジニアのコードの反復効率は27%向上し、機能のリリース速度は24%向上した。今や、IDEはMCPを活用して、開発者にとっての新しい「統一指揮センター」となる可能性がある。

しかし、MCPには限界もある。プロトコルには組み込みの認証や権限制御がなく、セキュリティと監査の境界が曖昧である。ツールの数が多すぎると、モデルのコンテキストウィンドウが過負荷となり、パフォーマンスが低下することがある。現在、Cursorは約40個のツールのみをロード可能であり、OpenAIエージェントは約20個までだ。また、MCPにはスマートなツール推薦メカニズムがなく、開発者はツールのアクティブ状態を手動で管理しなければならない。